尻屋崎(青森県下北郡東通村)
(2002年4月30日(火)撮影)


下北半島はまさかりの斧のような海岸線で書かれる。斧の柄の上部突端に当たるところ。
野生馬の寒立馬(かんだちめ)が生育している場所で有名である。青森市から大きな道路に
「寒立馬」の表示が出てくる。「寒立馬」の道路標識に従って進めば尻屋崎に着ける。

私がこの地へ寒立馬(かんだちめ)なるものを見に来たくなったのは、津軽海渡氏の
ホームページで「寒立馬」を拝見してからである。東北へ行くからには、ここは外せない。

前日は、十三湖を見て日が暮れ、宿をどこにとろうか考えた。青森市まで行き、ビジネス
ホテルを考えてみたが、やはりビジネスホテルには泊まる気がしなかった。少し国道4号線
を走り、海岸沿いの浅虫温泉に宿を摂った。客は私しかいなく、ホテルはがらんとしていた。
いつもはこうではないらしいが、今年は特に客足が途絶えているそうだ。宿賃はこちらの
言い値通りとなった。山形県の湯の田温泉の幽霊が出て来そうな宿とは違い、気持ちの
良い睡眠が摂れた。
翌日、この日は朝から冷たい雨が降り、雲行きの険しい日だった。「自然の険しいところへ
行くのだから、それもまたいいか!」なんて変に合点して、ホテルを出た。





青森市浅虫温泉のホテルの前。湯の島が目の前に見える。
雨に煙った厭な天気。




上北郡横浜町の菜の花畑。牧場があって、北海道の富良野に似た感じがする。
しかし、こちらは海が見える岡である。

青森のTVで天気予報を見ていて、これは何処かいなと思った地域名がある。
「上北三八(かみきたさんぱち)地方」とは何処だ?

下北があるから、上北がある。上北が東京に近い。で、三八とは何ぞ?女将に訊いた。
「三は三戸、八は八戸っだ〜よ」・・・・なるほど、合点。
下北半島の横浜町以南を上北三八地方と呼ぶのだ。




この道路標識で安心して走れた。




途中、三菱マテリアルの採石場があり、ダンプカーがひっきりなしにすれ違う。
雨は横殴り。車は、泥だらけなる。

芭蕉・奥の細道の象潟での文章に倣えば
「津軽は笑ふが如く、尻屋はうらむがごとし」なり



灯台のある場所への入り口には自動遮断機が付いていて
時間以外には入れないようになっている。





むつ市から車で45分。





海は凪いでいるが、雨はきつい。

寒立馬が食んだ草のあとが見える。
でも、姿は見えない。





尻屋崎灯台

ここにも居ない。灯台の近くに行って海岸縁を見たが、いない。
雨は横殴り状態。傘は持っていたが、カメラが撮りにくい。
昨日は長袖一枚でも良かったが、きょうは厚着。手がかじかんで来た。

津軽海渡さんは、ここへ厳冬期に来られる。しかも15kmも歩いて。
馬を探して、写して、また、歩いて帰られる。ブリザードのような中を。

私には考えられない状況だ!凄い意力だと思う。
その迫力を、今更のように納得した。





クキドウノ崎

断崖が海にせまっている。カメラを持っている手も動きが鈍くなってきた。
自動車に駆け込んで暖房で気を取り戻した。

こんな様、見たら津軽海渡さんは、大笑いするでしょうねぇ。




(十三湖へ)  (恐山へ)

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